世界中で愛されハリウッド映画まで公開された、日本の大人気漫画「デスノート」。
アニメ化はもちろん、日本国内の作品だけでも映画・ドラマと2度実写化されました。
本作のヒロインはあまねみさ(弥海砂)というキャラクターですが、彼女は設定と最期の描写がそれぞれの作品によって異なっています。
奥深く憎めないキャラクターなので監督に愛されたのでしょう。
性格は非常に明るく直情的でワガママ。
しかし主人公の夜神月に利用され続け、更には残りの寿命が半分になる「死神の目」の取引を2回も行ってしまいます。
本人が望んだこととはいえ、強盗に両親を殺された彼女自身がデスノートで殺人を行う皮肉な人生を歩んでしまうのです。とても悲惨でかわいそうなキャラクターですね…。
月に利用されながらも愛し続けたミサの一生と、彼女が迎えた結末を漫画とアニメで比較しました。
あまねみさ(弥海砂)の人物像
ミサが作品に登場した時点で、デスノートで悪人の裁きを行う「第2のキラ」と呼ばれていました。
そして彼女の口からキラ崇拝者であると明かされます。
世界一のキラ崇拝者
両親が強盗に殺された悲惨な過去をミサは背負っており、絶望していた時に偶然にもキラ(夜神月)が犯人を裁いてくれたと述べています。
夜神月は第2のキラに接触をはかるため、ミサはキラの正体を知るために、そしてLはキラと第2のキラの接触を阻止しようと行動を取ります。
その結果はミサの一人勝ち。
ミサは月を出し抜き「キラ=夜神月」であることを突き止めました。
頭の良さは作中でも最低レベルのキャラクターですが、危険をかえりみず目的のために行動する性格で、このような大活躍を時折見せるダークホースのようなキャラクターとして描写されることがあります。
ミサの一目ぼれ。
ミサがキラの正体を突き止めたとき、一目見ただけでその場を立ち去りました。
しかし後日、突然ミサは月に「自分が第2のキラだ」と名乗り出ます。
恋人になってもらうために直接月の家に出向いたのです。
月に抱きしめられたミサは「最初は彼氏のふりだけでいい、好きになってもらえるように頑張る。」と伝えるのですが、その時の月の表情はまさに悪人!
「君の眼は武器になる。」とミサに言った通り、自在に扱える強力な武器を手に入れたとしか思っておらず、どす黒い笑みを浮かべていました。
こうして月とミサはいびつな恋人関係になり、キラは第2のキラを駒として扱うようになります。
結局最後まで月はミサを好きになることなく、死ぬまでミサを利用し続けました。
しかし、ミサが居なければ確実に月はLに負けていましたし、本作のヒロインは間違いなくミサです。
後に同棲し結婚する話題まで出ていたので、ミサも本望だったのかもしれません。
夜神月は弥海砂をどう思ってた?
漫画作品が完結した後に出版されたファンブックで、原作者が月はミサをどう思っていたのか言及しています。
何の罪もない人間を殺している時点でミサは犯罪者であり、そのことで月はミサを悪としか見ていない。
だからミサの想いを踏みにじって利用することができるのだと。
ミサは第2のキラである証拠を見せるために、ワイドショーでキラを批判するコメンテーターを殺していますし、月はミサと出会う前に「もし第2のキラが僕への協力を拒むなら、そのときは始末するだけだ。」とリュークに話していました。
この発言は最初から最後まで一貫していたのでしょう。
L(エル)が認めた月(ライト)への異常な愛
Lはミサの自宅から第2のキラである証拠を多数発見し、ミサと月が直接接触していることを突き止めます。
そしてLはミサを第2のキラ容疑で確保・監禁。
キラと第2のキラは前例のない大量殺人犯であり、なんとしてもミサに月=キラだと言わせるために容赦のない残酷な尋問を開始します。
その時の拘束された姿は、本当に少年誌に掲載できたか疑うほどインパクトが高いものです。
キラ捜査本部に所属するLの仲間たちは「これじゃあ、どっちが犯罪者かわからないな」と口にし、デスノートの所有権を捨てデスノートに関する記憶を失ったミサが「変質者に捕まった」と誤解するほどのものでした。
またその姿は映画版とドラマ版でも再現されており、ドラマ版で弥海砂を演じた佐野ひなこさんは「収録では実際に拘束され、終わるまで5時間くらいかかった。死ぬほどつらかった。」とイベントで語っていました。
なお、ミサの拘束は3ヵ月に及んだという描写が作中にあり、途中でミサがデスノートの記憶を失ったとはいえ、Lはキラの正体を突き止められないままミサは解放されます。
尋問を行ったLの「これだけの尋問をしてわかったのは、夜神月に対する弥海砂の異常なまでの愛情だけです。」という発言に対して、ミサは「悪趣味な人間だと思っていたが本当は自分のことをよく理解していた」と感激したのでした。
漫画版 あまねみさ(弥海砂)の最期
物語はLの後継者「ニア」と夜神月との決戦前まで進みます。
大みそかの夜、NHN局の東西歌謡祭に出演するため楽屋で待機していたミサは、ニアの側近に誘拐されます。
月は「何のために?」と問い、ニアは「念のため」と答えます。
ミサは第2のキラなので、これから起こる決戦に向けての障害になる可能性があったということでしょう。
そして物語の決着となる決戦日にミサは解放され、月と安否確認の通話を携帯で行います。
軟禁先の超一流ホテルのデラックス・スイートルームで「ミサ、ちょー気分いい!」と、嬉しそうに手足を伸ばしているのが漫画での最後の出番でした。
なんだか少し意外ですが、ミサは生存してこの作品が完結しています。
ただし、寿命が半分になる死神との取引を2回も行ったのですから、生い先が長くないことは確かです。
月が発したセリフに「僕が死ぬようなことがあれば、確実にミサは僕の後を追う。」というものがありますし、
原作者も物語完結後に「デスノートを使った者が不幸になるというなら、月が他界した事実をミサが知り、それを苦に自殺する最期もありえるだろう。」と述べています。
最後のページの女性はミサ!?
最終話の最後のページに、ベールを被り月を見つめて祈る女性が描かれています。
週刊少年ジャンプに連載されたときに反響を呼んだページです。
コミックスでは描き直されてミサとは別人とわかるのですが、
ジャンプに掲載された女性はコミックスの人物よりも顔がふっくらしていて、
化粧しているように目が大きく書かれていました。
何よりも、月が瞳に反射しているのが死神の目のように見えるため、「死神の目の女性=弥海砂」と解釈した読者が多かったようです。
コミックスが発刊されてからはその話題を目にすることが無くなりました。
ミサじゃないなら最後の女性は誰なのか?
明言はされていないのであくまでも私個人の考察ですが、
「夜神月は宗教上の神になった。」という表現で加えられたページだと捉えています。
月の目的は、この世から犯罪をなくして善人だけが生きる世界を作ることでした。
それで新世界の神と自称して大量殺人を行っていたわけです。
その結果として地球上から戦争がなくなり、世界の統計で犯罪率が8割低下したと作中で描かれていました。
そうなるとキラを肯定する人がいるのも当然なことで、実際にインターネットで「夜神月は正義か悪か?」という議論が度々起こっています。
ニアとの決戦に月が敗北したあとは、日本の治安がキラの裁きが行われる以前の状況に戻っており、
キラを捕まえようと長年戦ってきた捜査本部のメンバーですら「月君が敗れて本当に良かったのか?」「月君が勝ったら我々は死んでいた。これで良かったんだ。」という会話を交わします。
キラ支持者たちは当然キラ復活を待ち望むと思うので、そういう人たちが集まりやがて宗教化した。
最期の女性はキラ教の巫女なのではないでしょうか。
夜神月は正義か悪か?
ちなみに原作者は夜神月は悪だと明言しています。
月は「自分の計画に支障がでるから」と、罪のない一般人や警察官をもデスノートで殺し、悪役が見せる薄気味悪い笑みを何度も見せていました。
アニメ版 あまねみさ(弥海砂)の最期
漫画での最期の出番は本当に幸せそうでしたが、アニメでは最終回のエンディングに再び登場します。
エンドロールが流れエンディングの曲をバックにして、ミサ→月→ミサ…という順番で場面が切り替わっていきます。
最初のミサの場面は無表情に一点を見つめて、無人の電車に座っています。
ゴスロリ系の白黒ワンピースを身にまとい、人形のような本当に美しい姿で。
死を迎えた月の場面に切り替わり、月は薄れる意識の中でLの姿を見ながら安らかに逝去します。
そして、場面は高いビルの屋上に切り替わります。
ミサは柵の外に一人たたずんで、瞳を閉じてその出番を終えました。
飛び降りた描写こそないものの、月の死に耐え切れずに自死したのではないか…?
そのように想像させる演出がなされていました。
あまねみさ(弥海砂)のかわいそうな結末 まとめ
最初のデスノートの映画で日本の映画で多分初めて前編 後編作られた作品
この作品がこけていたら 今も
2部構成映画は存在しないと思う— kouji (@kou81203154) August 2, 2020
非常に有名な作品ですから、「懐かしい!」と感じて読んでいた方も多いと思います。
書いている私も、もう一度読み直したくなりました。
今回はまとめられなかった映画版では戸田恵梨香さん、ドラマでは佐野ひなこさんが弥海砂を演じていて、ミサの性格や設定も変更されています。
また、映画とドラマは漫画と違うそれぞれのオリジナルストーリーで展開しており、特に映画版はファンの間でも好評で「原作を超えた」「物語の結末に関しては漫画より好き」という意見がよく見られます。
これを機会に再びデスノートの世界に触れて楽しんで頂けたら嬉しいです。