「警ら」という言葉の意味はご存知でしょうか?
言葉は聞いたことあっても詳しい意味はわからないってことはよくありますよね。
今回は「警ら」の意味をメインテーマに、
・警の漢字の意味や成り立ち
・警らの「ら」の漢字はあるのか?
・警らの類義語
・警察24時にも出てくる警ら隊について
といった警らに関連する言葉についても解説していきます。
「警ら」の意味
警らの意味とはなんでしょう?
警らとは「警戒して見回ること」です。
警察に自動車警ら隊という組織があります。
テレビの「警察24時」にも度々出てくる例のやつです。
警ら隊とは都道府県警察本部にてパトカーによって
警察署の管轄区域を超えた各都道府県内全域の見回りをすることを主な任務としている組織です。
警察内部では自ら隊(じらたい)と略称されることも多く、いくつかの県警では機動警ら隊などと呼ぶこともあります。
このように警察で使われることが多い言葉ですが、警らというのは別に警察のみを指しているわけではなく、一般人が警戒して見回りをすればそれは警らといえます。
警らの「警」の意味とは?成り立ちは?
ここで、警らの「警」という漢字についてみていきましょう。
「警」の意味
<音読み>ケイ、キョウ
<訓読み>いましめる
<意味>
- 注意を与え、身を引き締めさせる。非常の事態に備える。「警戒、警告、警笛、警備」
- 油断がなくすばやい。「警抜、奇警」
- 「警察」「警察官」の略。「県警」
<「警」を含む熟語、用語、名刺>
奇警(キケイ)、木警(キケイ)、機警(キケイ)、警策(キョウサク)、警衛(ケイエイ)、警戒(ケイカイ)、警官(ケイカン)、警句(ケイク)、警告(ケイコク)、警固(ケイゴ)、警護(ケイゴ)、警察(ケイサツ)、警視(ケイシ)、警鐘(ケイショウ)、警乗(ケイジョウ)、警世(ケイセイ)、警醒(ケイセイ)、警笛(ケイテキ)、警抜(ケイバツ)、警備(ケイビ)、県警(ケンケイ)、国警(コッケイ)、市警(シケイ)、警報(ケイホウ)、警部(ケイブ)、警棒(ケイボウ)、警防(ケイボウ)、警邏(ケイラ)、自警(ジケイ)、婦警(フケイ)夜警(ヤケイ)、泥警(ドロケイ)
「警」の漢字の成り立ち
出典:漢字/漢和/語源辞典
漢字の成り立ちですが、上記のように下側の「言」は、取っ手のある刃物の象形と口の象形です。
上側の「敬」は、「刑」と同じ読みをしていることから刑と同じ意味(いましめる)を持つようになり、「警」という漢字が成り立ちました。
警らの「ら」ってどうゆう漢字?
ここで疑問に感じている方もいるかと思いますが、
警らの「ら」は、なぜひらがな表記されてるのでしょうか?
そもそも漢字はあるのでしょうか?
あるとしたらどんな漢字でしょうか?
これについて答えていきます。
警らの「ら」には実は漢字が存在しています。
「邏」という漢字で表されます。
なぜ漢字があるのに、ひらがなで表記されるのかというと「邏」は常用漢字に含まれていないからです。
常用漢字とは「法令、公用的な文書、新聞、雑誌、テレビ放送」など一般社会において、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安です。
決して難しい漢字だからひらがなになっているわけではありません。
警邏の「邏」の意味
「邏」という漢字について詳しくみていきましょう。
<音読み>ラ
<訓読み>めぐる、みまわる、みまわり
<意味>見まわる、巡察する
<「邏」を含む言葉>
邏る(めぐる)・・めぐる
巡邏(ジュンラ)・・見回って歩くこと。パトロール。罰末に巡回警護した役目。
邏卒(ラソツ)・・見回りの兵卒、巡邏兵。明治初期の警察官の称。のち巡査と改称。
邏斎(ロサイ)・・仏教で僧が米などを請うこと。他人に食料や物品をもらうこと。乞食
「警」と「邏」の意味を解説しましたが、「注意すること」「見まわること」というそれぞれの漢字の意味を繋げたものが「警戒して見回ること」という警邏という言葉になります。
「警ら」の類義語は?
警らの類義語にはどのようなものがあるでしょうか?
それがこちらです。
※巡警、見回り、巡邏、パトロール、巡検、巡回
よく聞くのはパトロールだと思います。
警らと警備の違い
「警ら」と「警備」の違いはなんでしょうか?
警らは先ほども説明しましたが、「警戒して見回ること」です。
それに対し、警備とは「万が一場合に備え、周囲によく注意して守ること」です。
これらの違いは主体が動く動かないにあります。
警らはパトカーなどを用いて”移動しながら安全を守る”ことですが、警備は建物や一定範囲の場所の安全を守ることです。
警らを行うのは基本的には警察ですが、建物の警備や工事現場の警備は民間企業が行っています。
自動車警ら隊の歴史
警らという言葉は警察関連以外ではほとんど使われない言葉です。
ここでは警察組織の1つである自動車警ら隊の歴史について見ていきましょう。
自動車警ら隊は戦後GHQの指示で発足された?
自動車警ら隊が組織化されたのは戦後になります。
1947年9月、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)から警視庁に対し、新時代の外勤警察のために機動力と通信性を兼ね備えた自動車による警ら制度について示唆があり、警視庁ではFM無線機搭載のフォード式自動車2台を借用して、両脇に移動警察と書いた白幕を掲げ、1949年1月1日から浅草警察署管内で試験運用が始まりました。
これが予想していた以上の防犯効果をあげたため、淀橋警察署や築地警察署へと拡大しました。
1950年5月には「警視庁自動車警ら隊暫定運用要領」が制定され、発足しました。
国家地方警察でも同年8月に「無線自動車警ら暫定要領の制定について」を発表し、東京都本部、大阪府本部、山口本部、福岡本部にて無線自動車による警ら制度を実施しました。
また自治体警察でも、横浜市警察本部に2台、大阪市警察本部に10台、京都警察本部に3台、神戸市警察本部に3台、福岡市と門司市警察本部に各2台が配置されました。
自動車警ら隊の組織
自動車警ら隊は各警察本部においては地域部、あるいは生活安全部に置かれています。
警察本部警備部における機動隊と同様「執行隊」(あらゆる事案に対応)としての位置づけになっています。隊長は警視、副隊長は本部により警視または警部、隊員は地域警察官になります。
自動車警ら隊の任務
自動車警ら隊の任務は、パトカーでパトロールし、不審人物や不審車両に乗った人物の職務質問、通信指令室からの指令に基づいて事件現場に赴き、調査、捜査を行うことを担当しています。
交通違反の検挙に多くの実績を挙げていますが、交通機動隊や交通課とは違い、交通違反を検挙した際に車内捜査や所持品検査を実施することで薬物や凶器などを発見し、薬物所持違反や窃盗などの事件を摘発することもあります。
一部の警察本部では、繁華街や治安が悪化している地区を中心に、違法な客引き、飲酒運転、無免許運転、覚せい剤、麻薬犯、痴漢、賭博、ストーカーなどの犯罪を取り締まり検挙しています。
そのため、危険な目に遭遇することも多く、警ら隊では自動車運転の訓練を行い、隊員の運転技能を磨いたり、柔道、剣道、逮捕術などの武道訓練を行うことで、心身の鍛錬を行っています。
「警ら」の意味まとめ
警らの意味は「警戒して見回ること」です。
以下、解説した内容のまとめです。
- 警らの「警」の意味、漢字の成り立ち
- 警らの「ら」の漢字と意味について
- 警らの類義語
- 自動車警ら隊の歴史、組織、任務について
今回は以上です。